発達障害の検査はどこで受ける?ネットのチェック、心理検査、医療機関|何が違う?臨床心理士が解説

四季カウンセリングルーム

発達障害の検査、ネットのチェックと何が違う?

何度も確認したはずなのに、仕事で同じミスをしてしまう。説明を聞いたときはわかったのに、いざ取りかかると迷ってしまう。
人とのやり取りで誤解が重なり、「なぜうまくいかないのだろう」と疲れてしまう。

こうした経験から、自分の特性について知りたくなることがあります。
ネットで発達障害のチェックをしてみても、「この結果をどう受け止めればいいの?」と戸惑うかもしれません。

この記事では、四季カウンセリングルームの臨床心理士・公認心理師が、ネットのチェック、心理検査、医療機関での診断の違いをお伝えします。

こんなことで困っていませんか?

仕事や人間関係の中で、こんなことはありませんか?

人とのやり取りで疲れやすい

「相手の意図がわからず、話がかみ合わないことがある」
「曖昧な指示だと、どう動けばよいかわからない」
「急な予定変更があると、頭を切り替えるのに時間がかかる」
「人に合わせようとして、家に帰るとぐったりする」

こうした困りごとは、ASD(自閉スペクトラム症)の特徴と関係していることがあります。

ミスや忘れ物を繰り返してしまう

「気をつけているのに、同じミスをしてしまう」
「やらなければと思っているのに、なかなか取りかかれない」
「仕事が重なると、何から始めればよいかわからない」
「忘れ物やなくし物が多い」

こうした困りごとは、ADHD(注意欠如・多動症)の特徴と関係していることがあります。

ただし、当てはまるものがあるだけで、ASDやADHDと判断することはできません。

「もしかしてASDやADHDかもしれない」と思ったとき、まずネットのチェックを試してみる方もいるでしょう。

では、ネットのチェックでは何がわかり、どこまで参考にできるのでしょうか。

1.ネットのチェック

自分の困りごとに気づくきっかけ

質問を読んで、「自分にもこういうことがある」と気づく。うまく説明できなかった困りごとが、少し言葉になる。
ネットのチェックは、自分の経験を振り返るきっかけになります。

点数だけで判断せず、相談の手がかりに

ただ、点数だけで、発達障害かどうかを決めることはできません。
ADHDの診療指針でも、質問紙の結果だけで診断しないことが示されています[1]。

点数が低くても、今の困りごとを我慢しなくてよいのです。ネット上のチェックにはさまざまなものがあり、根拠も一様ではありません。
気になった質問や、実際に困った場面をメモして、相談の手がかりにしてみてください。

2.心理士による検査

知的な力と発達傾向から、自分の特性を知る

「得意なことはあるのに、なぜ同じところでつまずくのだろう」
「幼い頃から感じていた生きづらさを、もう少し理解したい」
心理検査は、こうした疑問を整理する手がかりになります。

知的な力と発達傾向の両方を確認し、ご自身の経験と照らし合わせることで、得意なことや、負担がかかりやすい場面を詳しく捉えていきます。

たとえば、成人用の知能検査WAIS-IVでは、言葉で説明する力や、情報を一時的に覚えて扱う力など、認知能力をいくつかの面から見ていきます[3]。
発達傾向を調べる検査では、日頃の行動や感じ方の特徴を確認します。

知的な能力が高くても、特定の場面でつまずくことはあります。
知能検査だけでは捉えきれない困りごとについても、発達傾向やこれまでのお話と合わせて考えることで、ご自身の特性と生活上の難しさとの関わりを整理します。


検査だけで、困りごとの原因がすべてわかるわけではありませんが、結果をご自身の経験と照らし合わせることで、つまずきやすい場面や負担のかかり方を理解する手がかりになります。 フィードバックでは、その理解をもとに、ご自身に合う工夫を一緒に考えていきます。

フィードバックで、これからの工夫を一緒に考える

検査を受ける前には、「結果を見て落ち込まないかな」と不安になることもあるでしょう。
結果は、その人のすべてを表すものではありません。フィードバックでは、点数をお伝えするだけでなく、普段の経験と結びつけて考えます。

「説明を聞くとき、どこでわからなくなるのか」
「仕事でミスが増えるのは、どんな状況なのか」
臨床心理士・公認心理師と話しながら、ご自身に合う対策を相談できます。

すでに試した方法や、続かなかった工夫も大切な情報です。
「それはもうやっている」「その方法だとかえって大変」ということもお聞きし、今の生活で取り入れられる方法を、一緒に考えていきます。

3.医療機関での診断

医師が、これまでの経過や困りごとを合わせて判断する

発達障害の診断は、医師が行います。
心理検査で特性を知ることと、医師が診断することには、それぞれ役割があります。

精神科やクリニックでは、子どもの頃からの様子や現在の症状、家庭・職場での生活への影響、ほかの心身の不調なども確認し、必要に応じた検査結果と合わせて、診断や治療方針を検討します[1、2]。

心理検査も、診断を考えるための資料になる

医療機関でも、心理検査を臨床心理士などの心理職が担当する場合があります[4]。
「医師の検査」と「心理士の検査」が、必ず別の検査というわけではありません。
心理職が実施した検査の結果も、医師が診断を考える際の資料になります。
診断を受けたい、薬や診断書について相談したい場合は、医療機関でご相談ください。

「自分を知りたい」という気持ちから始めてみませんか

「診断を受けたい」のか、「まず自分の特徴を理解したい」のか。
今、知りたいことから相談先を考えてみてください。両方を組み合わせることもできます。

四季カウンセリングルームでは、知能検査と発達傾向を調べる検査を通して、ご自身の特徴を、これまでの経験と結びつけながら整理していきます。
「どんな工夫なら、自分の生活に合いそうか」を一緒に考えてみませんか。
相談したいことがまとまっていなくても、今、気になっていることからお聞かせください。

心理検査について、よくあるご質問

Q.診断を受けるか迷っています。心理検査を受けてもよいですか?

はい。「まず自分の得意・不得意を知りたい」という気持ちも、心理検査を受けるきっかけになります。 診断を受けるか決めていなくても、今、気になっていることからご相談ください。診断を希望する場合は、医師の診察が必要です。

Q.知能検査でIQが高ければ、発達障害ではないのでしょうか?

IQの高さだけで、ASDやADHDの有無は判断できません。 知的な能力が高くても、特定の場面でつまずくことはあります。知能検査や発達傾向を調べる検査の結果を、これまでの経験と照らし合わせながら、ご自身の特徴を整理していきます。

Q.結果を見て、落ち込まないか心配です。

自分について知ることに、不安を感じることもあると思います。検査結果は、その人の価値や能力のすべてを決めるものではありません。 フィードバックでは、得意なところと負担がかかりやすいところを一緒に確認します。結果を聞いて感じたことや、納得できないところも、遠慮なくお話しください。

Q.困りごとを、うまく説明できなくても大丈夫ですか?

大丈夫です。相談したいことが、まとまっている必要はありません。 「最近、仕事でこんなことがあった」「子どもの頃から、これが苦手だった」など、思い出せる場面からお聞かせください。お話ししながら、一緒に整理していきます。

参考文献・資料

[1]NICE.ADHDの診断と支援に関する指針(NG87).2018年3月14日公開、2019年9月13日最終更新。
[2]NICE.成人のASDの診断と支援に関する指針(CG142).2012年6月27日公開、2021年6月14日最終更新。
[3]日本文化科学社.WAIS-IV知能検査.公開日記載なし。
[4]国立成育医療研究センター.発達評価支援室.公開日記載なし。

参考資料の閲覧日:2026年9月30日。NICEは英国の診療指針です。